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サイレントエモーショナルサマー
第18章 ferita
ひらひらと手を振って、小銭片手にフロアを出る。ああいう浩志のちょっとした苛々を鎮めるには煙草を吸わせるかコーヒーを飲ませるのが一番早い。私もそうすると些細な苛立ちは処理することが出来るので、浩志のそれには比較的早く気付くことが出来た。

近くのコンビニでコーヒーを調達して戻り、それをちまちまと飲みながら仕事を進めていくと、今日はなにやらご機嫌なのは藤くんだけでなく部長もだったようで、誰か飲みにいかないか、としきりに声をかけだす。半年に一回あるかないかのその呼びかけは参加者もとい犠牲者が最低4名集まるまで終わらない。

「…浩志、部長が呼んでるよ」
「いや、月曜からはきつい。お前行けよ」
「嫌だよ。飲めないフリしてんのバレてるもん。前にあった時連行されて吐くまで焼酎飲まされたし」
「なんだかな…あの人仕事できるし、豪快で悪い人じゃないんだけど酒乱の気があるよな」
「知ってる?部長の奥さん酒豪らしいよ。しかも部長飲み比べて負けるんだって。内臓やられるわ」
「ああ、知ってる。部長に似たゴリ…いや、ちょっと濃いめの、な」

現在の部署に落ち着いて長い者は部長召集に応じると地獄を見ることを知っている訳で、皆、顔をやや下に向けて部長と目が合わないようにしている。私と浩志も小さくなって、目をつけられませんように、とヒヤヒヤものだ。

私は特定の人間の前以外ではかわいこぶったカクテルやら果実酒やらしか飲まないようにしているが、何故だか私が飲める方であることは部長にバレバレで、前回捕まった時には焼酎を飲まされ飲まされ潰されたのだ。ちなみに浩志も結構飲める方な上、部長のお気に入りなので捕縛率が高い。

「お、見ろ。藤が捕まった。ざまーみろ」
「心の声がダダもれてる。あ、村澤さんも捕まった。あとふたりだ」

浩志の声で視線を移すと藤くんが部長に羽交い絞めにされ、言葉通り捕まっていた。憐れ。私と居る時、彼は殆ど酒を飲まないが、部の飲み会では何度かビールを延々飲んでいる姿を見たことがある。

「おー、中原、お前も来い」
「……いや、若いの連れてってくださいよ」
「お前もまだ若いだろ。中原が来ないなら、都筑、お前来るか」
「…あ、私倉庫番タイムなんで、ちょっと失礼します。中原さんは行きたいみたいですよ」
「都筑てめえ…」

わざとらしく時計を指さし、バインダーを手に逃げる。
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