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サイレントエモーショナルサマー
第18章 ferita
申し訳ない、と思った。この優しい人を私は4年も立ち止まらせてしまった。私なんぞのなにをそこまで良いと思ってくれるのだろう。この人も、藤くんも、それからよく分からないが隼人も。

「それは、出来ません。私はあなたを傷つけたこと、それからこの4年あなたを立ち止まらせたことを、申し訳ないと思います。だけど、それ以外の感情は持てません」

嘘はつきたくなかった。自分の為ではない。三井さんをこれ以上立ち止まらせない為に、嘘偽りなく言った。

「僕は、そうやって背筋を伸ばして嘘偽りなく、真っ直ぐな言葉を言う都筑さんが好きでした。正直、今、はっきり断られたのはショックだけど、今日、都筑さんに会えて良かった」

それから暫く、お互いの近況などを話してから三井さんとは店先で別れた。僕が出しますよ、と彼は言ったが支払いは晶に渡された現金で済ませた。奴なりに贖罪の意味があったのだと思ったからだ。

三井さんと別れてからあてどなく夜に染まる街を歩き、適当なバーに入った。ギムレットを飲みながら煙草を吸って、薄暗い店の中、カウンターの端でひとりぼんやりと過去へと思考を持っていく。



恋慕は終わりを連れてくる。愛しているという言葉は、終わりを差す言葉だ。付き合うなどという選択をするから淡い感情に罅が入るのだ。三井さんの涙を見て憤った私の恋愛における回路はそこで大破した。

それ以来、私は恋愛というものを遠ざけて生きてきた。いつか終わるものを求める意味が分からなかったのだ。

次に入社した会社では男性とは線を引いて接した。気を許してはいけない。そう思いながら外面をぴったり貼り付けて接し続けた。

その頃の私は簡単に言うとただの男嫌いの大酒飲みだった。酒を飲むことがストレス発散になっていた。そのストレス発散の手段が結果として性的欲求に弾ける原因になった訳だが、特に後悔はしていない。酒は今でも大好きだし、セックスは気持ち良い。
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