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サイレントエモーショナルサマー
第3章 檻のなかの土曜日
「服、返して」
「ダメです。志保さんはこっち」
私を押し退けて居室へと戻った藤くんはベッドに置いてあったTシャツをぐいと私に突きつける。
「コーヒー淹れますから。志保さんブラックですよね」
「コーヒーは結構。早く私の服を返して」
「色々お話したいことがあるのでまだ返せません。それ、着てくれないなら昨日のハメ撮り写真社内メールで回します」
「…!いつの間に!脅迫するつもり?」
「まあ、全裸のままでもいいですけど、また気絶するまでしますよ」
それもいいかもしれない。気持ち良いしか考えることのできないセックスは久しぶりだった。あの立派なモノとのセックスが一晩きりだなんてもったいない。きゅんと疼く下腹部を叱咤し、悔しさを滲ませつつ口を開く。
「藤くんって結構くそ野郎だよね」
「志保さんは意外と口悪いし淫乱ですよね。今、気絶するまでヤるって言われて、それもいいかもって思ったでしょ」
図星をつかれ悔しさが増す。変態!絶倫!と罵って押し付けられたTシャツを渋々着ようとするとその間から薄いグレーのボクサーパンツがはらりと落ちる。
「……変態」
「そんな変態に泣きながらおねだりしてた志保さんの方がもっと変態です」
それもセットですから、とちらりとボクサーに視線をやって涼しい顔で湯を沸かす。自分が変態だって認めたな!己のパンツを女に穿かせたがるやつが否定したって信じてやるつもりはないが。