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サイレントエモーショナルサマー
第3章 檻のなかの土曜日
「変化球は打ち返されそうだったからストレートで攻めてたのになぁ」
私の脇腹をやわやわと撫でながら藤くんがごちる。その球種選択は強ち間違っていなかったと言える。ただ、相手が悪かっただけだ。
「ていうか、中原さん志保さんの家に泊まったことあるんですか?俺なんて入ったことすらないのに?」
「浩志は友達ですからねー」
「じゃ、俺は?」
「藤くんはただの後輩。でも、いまならセフレっていう選択肢もあるよ」
「…なんでそっち行っちゃうんですか」
「あっ…!」
溜息と共に脇腹をきゅっと抓られ思わず官能的な声が出る。仕返しにその立派なモノを思いきり握りしめてやろうか。そんな抗議の意を込めながら睨み付けた先には綺麗に笑った顔がある。
なんで、私なのだろう。人好きのする顔を見ると湧き上がる疑問。
なんだかむっとして藤くんの腕を抓る。顔を上げさせられ、キスをされた。そっと触れるばかりのキスがもどかしくて舌をいれようとすると彼の顔が離れていく。
「もっと、したいですか」
「……うん」
「じゃ、俺と付き合ってください」
にこりとアイドルスマイル。喜んでなどやるものか。