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サイレントエモーショナルサマー
第21章 futuro
分かりやすく上機嫌の藤くんとは逆に今日の浩志はなんだか様子がおかしかった。昼も別々だったし、まともに目も合わせない。話しかけても、ああ、とか、おう、とか生返事もいいところだ。

そんなこんなで無駄にそわそわする一日を乗り越えて、寂れた居酒屋でチカと向かい合っているとTバックの落ち着かなさも幾らか和らぐような気がしないでもない。

「天気予報見て志保大丈夫かなって思ってたんだよね」

お通しをつまみながらチカがぽつりと言う。どうやら口に合わなかったらしく眉間に皺を寄せ、テーブルの端に避けている。

「心配してくれてありがとね。なんかやっぱり夢見ちゃって…結果として今藤くんの家に転がり込んでる」
「なら安心。また男の家だのホテルだの渡り歩いてんじゃないかって気が気じゃなかったわ」
「いやー、ほんと、お気遣い恐れ入ります」
「どうなのよ、同棲は。楽しい?」
「同棲じゃないよ。居候させてもらってるの」
「でもやることやってるんでしょ。それに藤くんはあんたのこと好きなんでしょ。ただの居候とは違うじゃない」

確かに、2日ほど空白があったとはいえ今のところやることはしっかりやっている。だが、たったの5日だ。同棲なんて語れるほど日が経っている訳ではない。

この5日で彼について分かったことと言えば藤くんは意外と洗濯物を干すのが上手なことと、トマトを毛嫌いしていることくらいである。

「藤くんがいつまで志保のこと置いておくつもりか分かんないけど、暫く甘えてみなよ。そしたらポンコツなあんたでも流石に藤くんのこと好きになるでしょ」
「なるのかなぁ…自信ないんだよね」

箸を置きながら癖で手が煙草の箱を探す。あ、そうだ、持ってないんだ。藤くんの家に転がり込んでから一本も吸ってない。行き場所を失くした手は宙を掻き、レモンサワーのグラスに触れる。
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