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サイレントエモーショナルサマー
第22章 gelosia
「え!都筑さんから誘ってくれるなんて嬉しいです。ぜひぜひ。どこ行きます?なんの気分ですか?」

想像以上の好反応に思わずたじろいだ。いやいや、負けるな自分。びびってどうする。ここはミヤコちゃんが喜んでくれたことに私も喜ぶところだろう。

「女の子たちがよく行くおすすめのところ教えて。ほら、私いつも蕎麦屋だの定食屋だのだから」
「じゃあ決めちゃいますね。あ、中原さんはいいんですか?」
「ああ、浩志ね…大丈夫。なんか今週猛烈に機嫌悪いみたいで口きいてくれないんだよね」

恐らくミヤコちゃんの視線は私の身体越しに浩志の方へ向いているのだろう。月曜から引き続き様子のおかしい彼は、苛々してるなら煙草吸って来たら?とか、コーヒー買ってこようか?とか私が幾ら声をかけても、ああ、としか答えず、しまいにはうるせえよとでも言いたげに眉間に皺を寄せる。私は火曜の時点で浩志の機嫌が良くなるまで放っておくことに決めていた。

「そうなんですか?中原さん機嫌良さそうに見えますけど、にこにこしてるし」
「あれは逆なの。機嫌悪いから敢えてにこにこしてるんだよ。その癖私が話しかけても、うるせえみたいな顔してさ。あれは突っつくと爆発するから放っておいた方がいいよ」

さわらぬ神に何とやらである。ここで何に怒ってんの?と聞こうものなら浩志は益々口を噤んでしまう。

藤くんだったら苛々した時、どうするだろう。多分、彼は上手く自分の言葉に変えて、私に慰めてくれだの癒しくれだの言ってくるような気がする。

チカだったら、酒を片手に私の家にやってきて、延々飲んで叫んで寝てしまう。

隼人だったらどうするかな。これは全くもってなにも思いつかない。晶だったら多分セックスですっきりするのだろう。

ぼんやりと頭の中に浮かぶものを感じながらミヤコちゃんに、後でね、と告げてデスクへ戻る。昼休憩まであと1時間ほどだ。

真顔でPCに向かう浩志の横顔を見るが、やはりピリピリしているというか、本人も自分の苛立ちを持て余しているようにすら見える。

今までであれば、業務後に飲みに行ってくだらない話をしている内に彼の機嫌が良くなっていくこともあった。だが、その戦法も使えない。水曜日に、今夜、飲みに行く?と聞いた私に、彼は、当分行かねえ、としか答えなかった。
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