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サイレントエモーショナルサマー
第22章 gelosia
ランチをすっかり食べ終えるとミヤコちゃんの藤くんに対する愚痴も幾らか落ち着いた。
「はー。すっきりしました。すみません、ぶちまけちゃって。話しだしたら止まらなくて」
「ううん。なんていうか、その、ご迷惑をおかけしたようで…」
「ほんとですよ。もうあんたのお守りはしないからって私が言ってたって伝えてください」
「う、承った」
これだけぶちまけてすっきりしてくれなかったら私にも打つ手がない。
会計を済ませて店を出る。日差しのきつさを感じながら会社へと向かってゆっくりと歩いていく。もう一度、と思ってミヤコちゃんに彼氏について訊ねてみると高校生の頃からの付き合いで別れたりよりを戻したりしながら今に至っているという。
「結局、他の人と付き合っても彼の方が安心できるんですよね。未来が見えるって言うか」
会社に戻り、エレベーターを待つ間、ミヤコちゃんは小さく言った。いつも可愛らしい女の子だなと思っていたが、照れくさそうに言った横顔は普段以上に愛らしく見える。
「私は彼の未来でも一緒に生きてたいって思うようになったから彼と結婚しようと思ってます。あ、これまだ部長にも言ってないんで秘密ですよ」
「分かった。良い話聞かせてくれてありがとう」
「また、ランチ行きましょうね。私お手洗い寄ってから戻るんで、ここで」
「うん。また色々聞かせてね」
エレベーターを降りて別々の方向へ歩き出す。フロアの入り口に近づくと浩志の姿が見えた。そのすぐ隣には総務の成瀬ちゃんが立っている。
成瀬ちゃんに向かって愛想よく振る舞う姿を見ると胸騒ぎがした。私が幾ら声をかけても曖昧な受け答えばかりだったくせになんなのだ。
「浩志!」
声をかけたことに特に意味はなかった。強いて言うなら、浩志の見慣れない笑顔が成瀬ちゃんに向いているのを見ていたくなかったのだと思う。覚えのない苛立ちだった。怪訝な顔をした浩志の腕を掴んで廊下へと引っ張っていく。行く当てなどなかった。
「はー。すっきりしました。すみません、ぶちまけちゃって。話しだしたら止まらなくて」
「ううん。なんていうか、その、ご迷惑をおかけしたようで…」
「ほんとですよ。もうあんたのお守りはしないからって私が言ってたって伝えてください」
「う、承った」
これだけぶちまけてすっきりしてくれなかったら私にも打つ手がない。
会計を済ませて店を出る。日差しのきつさを感じながら会社へと向かってゆっくりと歩いていく。もう一度、と思ってミヤコちゃんに彼氏について訊ねてみると高校生の頃からの付き合いで別れたりよりを戻したりしながら今に至っているという。
「結局、他の人と付き合っても彼の方が安心できるんですよね。未来が見えるって言うか」
会社に戻り、エレベーターを待つ間、ミヤコちゃんは小さく言った。いつも可愛らしい女の子だなと思っていたが、照れくさそうに言った横顔は普段以上に愛らしく見える。
「私は彼の未来でも一緒に生きてたいって思うようになったから彼と結婚しようと思ってます。あ、これまだ部長にも言ってないんで秘密ですよ」
「分かった。良い話聞かせてくれてありがとう」
「また、ランチ行きましょうね。私お手洗い寄ってから戻るんで、ここで」
「うん。また色々聞かせてね」
エレベーターを降りて別々の方向へ歩き出す。フロアの入り口に近づくと浩志の姿が見えた。そのすぐ隣には総務の成瀬ちゃんが立っている。
成瀬ちゃんに向かって愛想よく振る舞う姿を見ると胸騒ぎがした。私が幾ら声をかけても曖昧な受け答えばかりだったくせになんなのだ。
「浩志!」
声をかけたことに特に意味はなかった。強いて言うなら、浩志の見慣れない笑顔が成瀬ちゃんに向いているのを見ていたくなかったのだと思う。覚えのない苛立ちだった。怪訝な顔をした浩志の腕を掴んで廊下へと引っ張っていく。行く当てなどなかった。