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サイレントエモーショナルサマー
第22章 gelosia
「なんかありました?」
「…別に」
「別にって顔じゃないですね」
「自分でもよく分かんないの!ほっといて!」
私が叫ぶと藤くんは拾い上げたバインダーを棚に置いて私の手を引いた。そのままぎゅっと抱き締められると涙が出そうになる。
「ゆっくり、深呼吸してください。苛々してるとかわいい顔が台無しですよ」
「ごめん、ちょっと処理しきれなくて…」
「いいんです。そういう志保さんも見せてください」
大きな手が後頭部を優しく撫でる。藤くんのシャツの裾を掴んで目を伏せた。得体の知れない苛立ちがじわじわと去っていく。ふう、と息を吐いて顔を上げると、ちゅっと唇が塞がれる。
「もっと、」
シャツを引いてねだると私の頬にそっと触れてからもう一度キスをくれる。甘ったるく啄んで、下唇を食む。舌を出せば迷いなく彼のそれが絡まってくる。はぁっ、と息を吐くと鼻先で笑った藤くんの顔が離れていく。
「落ち着きました?」
「…ん」
「どうしたんですか?今朝はなんともなかったのに」
「爆弾を落とされた」
「爆弾?誰にですか?津田ですか?」
「………。ごめん、ミヤコちゃんから藤くんの裏工作のことうっかり聞いた」
「げっ…え、それで荒れてたんですか?それはそれでかなり傷つきますけど」
「…ううん。それは別件」
藤くんの腕の中は気持ちが落ち着く。彼の背中に腕を回し、胸元に額を擦りつける。よしよし、とあやすように頭を撫でてくれる手が心地良い。
浩志に、お前を友達だと思ったことはないと言われて戸惑ったり苛立ったりしていることを藤くんに告げるべきか迷った。浩志の様子がおかしいと感じていたことは藤くんには言っていなかったし、昼休憩を別々に取っていることもタイミングの問題かな、とふわっとさせていた。
私は浩志との楽な関係を維持したいと思っていたのに、彼はそんな風には思っていなかったのかと思うと悲しくてたまらない。つんと目の奥が熱くなったのを感じ、それを誤魔化すように更に藤くんの胸に顔を押し付ける。
「…別に」
「別にって顔じゃないですね」
「自分でもよく分かんないの!ほっといて!」
私が叫ぶと藤くんは拾い上げたバインダーを棚に置いて私の手を引いた。そのままぎゅっと抱き締められると涙が出そうになる。
「ゆっくり、深呼吸してください。苛々してるとかわいい顔が台無しですよ」
「ごめん、ちょっと処理しきれなくて…」
「いいんです。そういう志保さんも見せてください」
大きな手が後頭部を優しく撫でる。藤くんのシャツの裾を掴んで目を伏せた。得体の知れない苛立ちがじわじわと去っていく。ふう、と息を吐いて顔を上げると、ちゅっと唇が塞がれる。
「もっと、」
シャツを引いてねだると私の頬にそっと触れてからもう一度キスをくれる。甘ったるく啄んで、下唇を食む。舌を出せば迷いなく彼のそれが絡まってくる。はぁっ、と息を吐くと鼻先で笑った藤くんの顔が離れていく。
「落ち着きました?」
「…ん」
「どうしたんですか?今朝はなんともなかったのに」
「爆弾を落とされた」
「爆弾?誰にですか?津田ですか?」
「………。ごめん、ミヤコちゃんから藤くんの裏工作のことうっかり聞いた」
「げっ…え、それで荒れてたんですか?それはそれでかなり傷つきますけど」
「…ううん。それは別件」
藤くんの腕の中は気持ちが落ち着く。彼の背中に腕を回し、胸元に額を擦りつける。よしよし、とあやすように頭を撫でてくれる手が心地良い。
浩志に、お前を友達だと思ったことはないと言われて戸惑ったり苛立ったりしていることを藤くんに告げるべきか迷った。浩志の様子がおかしいと感じていたことは藤くんには言っていなかったし、昼休憩を別々に取っていることもタイミングの問題かな、とふわっとさせていた。
私は浩志との楽な関係を維持したいと思っていたのに、彼はそんな風には思っていなかったのかと思うと悲しくてたまらない。つんと目の奥が熱くなったのを感じ、それを誤魔化すように更に藤くんの胸に顔を押し付ける。