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サイレントエモーショナルサマー
第3章 檻のなかの土曜日
「じゃあ帰る」
「俺が素直に帰らせると思ってるんですか?」
「帰るってば。離してよ」
もがく私になんかお構いなし。ボクサーの隙間から差し込まれた指は迷いなく膣へと到達する。触って触ってと主張するクリトリスをやわやわと擦られると待ちに待った感触に全身の粟立ちが止まらない。
「あっ…」
「ここ、痛くされるの好きみたいですね」
数時間前まで蹂躙されていた身体は酷く疲れ切っているのに藤くんの指に喜んで反応する。クリトリスを引っかいたり撫でたりするくせに力強く摘まんでくれないのは私を本当の意味で喜ばせるつもりがないからだ。
「やだ、…藤くん…、もっと」
モノをくれないならせめて指を入れてイかせて欲しい。クリトリスへの刺激だって痛いくらいの方が気持ちイイ。腰をくねらせても彼の指は一向に中へは入ってこないし、優しく撫でるばかり。
耳の裏を舐める舌の感触だって私を興奮させるのに決定的な快感は与えてくれない。
「イきたいですか」
「う、ん…お願い…ちゃんとして…っ」
「じゃ、俺と付き合ってくれますね?」
「しつこい…っ…ん、あっ…」
「しつこいのは自覚してます。ていうか志保さん結構強情ですね」
私を逃がさないように右腕でがっちりホールド。左手は相変わらず生殺し。イきたい、と辛うじて残っていた恥などかなぐり捨ておねだりをしても彼は言葉通り全くもって譲歩してくれない。
嘘が、つけたらいいのに。分かった付き合おう、あなたのことが好き、とそう言うだけでいいのに。
その言葉は喉の奥でつっかえて私の口からは出てこない。
嘘つきは嫌いだ。私は、どうしようもない女だけれど、嘘つきにはなりたくない。