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サイレントエモーショナルサマー
第23章 vacanza
突然、がしりと肩を掴まれ、多分、叫び声をあげた。一瞬で荒くなった呼吸。深く息を吸い込むとぼやけた視界が世界を取り戻す。
恐る恐る振り返ると怪訝な顔をした晶が立っている。なんだ、晶か。ふんと手を跳ね除け、距離を取った。
「そんなに驚くなよ」
「なんでここに居るの」
「電車でお前見かけたから」
「声かけてよ…なんで黙ってついてくんの!?」
「声かけたらお前逃げるだろ」
「逃げられるようなことしてきたのはあんたでしょうが!」
電車で感じた視線ってこいつかよ。思わず深い溜息が漏れる。くそう。うっかりしていた。藤くんのアパートの鍵を預かったことに妙に浮かれていた所為で晶に自宅がバレてしまった。これでは自宅は益々危険地帯になってしまう。
引っ越すべきか。だが、会社までおおよそ30分以内で通勤できるこの立地と日当たり、浴室等々の条件は捨て難い。
「お前、番号変わってるだろ。教えろよ」
「冷静に考えて現在の関係性で私があなたに連絡先教えると思いますか」
「そんなんどうでもいい。俺が知りてえんだから教えろ」
私は別に晶の電話番号なんぞ知りたくもないし、自分のものも教えたくもない。
「あのさ、いつまでも私に執着してないでちゃんといい人見つけなよ。あ、でも釣った女にはちゃんとエサやった方がいいよ」
「エサなしで2年も生きられる女が目の前に居るんだけど」
こいつ…!私にエサを与えてなかったことをさくっと認めたぞ。
「聞け、志保。お前がちゃんと話をした甲斐あって直希は今、合コン三昧だ」
「…左様でございますか」
「よって、俺はあいつに気後れしないでお前とヤれるようになった。だからヤらせろ。あと番号も教えろ」
「いやいやいや、意味わかんないし。三井さんが合コン三昧っつーならあんたも呼んでもらっていけばいいじゃない」
多忙を極めるあの会社の業務の合間に合コン三昧とは恐れ入るが、どうやら三井さんも彼なりに進むことが出来ているようでちょっとだけほっとした。優しい人だからきっと三井さんにはいい人が見つかるだろう。
恐る恐る振り返ると怪訝な顔をした晶が立っている。なんだ、晶か。ふんと手を跳ね除け、距離を取った。
「そんなに驚くなよ」
「なんでここに居るの」
「電車でお前見かけたから」
「声かけてよ…なんで黙ってついてくんの!?」
「声かけたらお前逃げるだろ」
「逃げられるようなことしてきたのはあんたでしょうが!」
電車で感じた視線ってこいつかよ。思わず深い溜息が漏れる。くそう。うっかりしていた。藤くんのアパートの鍵を預かったことに妙に浮かれていた所為で晶に自宅がバレてしまった。これでは自宅は益々危険地帯になってしまう。
引っ越すべきか。だが、会社までおおよそ30分以内で通勤できるこの立地と日当たり、浴室等々の条件は捨て難い。
「お前、番号変わってるだろ。教えろよ」
「冷静に考えて現在の関係性で私があなたに連絡先教えると思いますか」
「そんなんどうでもいい。俺が知りてえんだから教えろ」
私は別に晶の電話番号なんぞ知りたくもないし、自分のものも教えたくもない。
「あのさ、いつまでも私に執着してないでちゃんといい人見つけなよ。あ、でも釣った女にはちゃんとエサやった方がいいよ」
「エサなしで2年も生きられる女が目の前に居るんだけど」
こいつ…!私にエサを与えてなかったことをさくっと認めたぞ。
「聞け、志保。お前がちゃんと話をした甲斐あって直希は今、合コン三昧だ」
「…左様でございますか」
「よって、俺はあいつに気後れしないでお前とヤれるようになった。だからヤらせろ。あと番号も教えろ」
「いやいやいや、意味わかんないし。三井さんが合コン三昧っつーならあんたも呼んでもらっていけばいいじゃない」
多忙を極めるあの会社の業務の合間に合コン三昧とは恐れ入るが、どうやら三井さんも彼なりに進むことが出来ているようでちょっとだけほっとした。優しい人だからきっと三井さんにはいい人が見つかるだろう。