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サイレントエモーショナルサマー
第23章 vacanza
「俺はそうやって自分の思うこと言うようになった今のお前が好きだ」
藤くんと同じ色の美しい瞳が私を見ている。好きだって言った?晶が?いや、あの頃も言ってたけど、今の、好きだ、は持っている力強さがまるで違う。
「……女がいつまでも昔の男ずっと好きだなんて幻想だから」
「幻想で良い。過去の俺なんかさっさと殺せよ。今の俺を見ろ」
「……ほんと、晶って嫌なタイミングで現れる」
涙が出そうなのは何故?晶が言った、好きだ、が色鮮やかに生きて聞こえたのはどうして?目を逸らしたいと思うのに逸らすことが出来ない。私は今、どんな顔をしているのだろう。
息が詰まる。藤くん、お願い、今すぐここに来て。あなたの顔が見たいの。
ふと晶の手が伸びてくる。抵抗する間もなく優しく抱き締められた。ふわりと漂うあの頃と同じ香水の香り。
晶の身体が震えている。なんでよ。いつだって暴君で、こんな風に私に触れる人じゃなかったくせに。
「……この間の男と違うっつーのはどういうこと?しーちゃん」
静かに響いた声にぎょっと目を見開く。もがいて晶の腕の中から逃れるとにっこり微笑んだ隼人が立っている。見た感じ外出先から戻ってきた所らしい。うわ、厄介だ、面倒くさい。なんでお前もこのタイミングで出てくるんだよ。
「なんだこいつ。パンツ野郎か」
「違う!つーか藤くんのことパンツ野郎とか変な呼び方するの辞めてよ!」
晶の険しい視線が隼人を捉えた。だが、隼人はどこか余裕そうな笑みで晶を見ている。晶と話をするなら場所を変えるべきだった。さっさと追い払ってしまおうと立ち話で済ませようとした自分のバカさに呆れて言葉が出てこない。
「藤くんってのはこの間一緒にいた分かりやすいイケメン野郎でしょ。しーちゃんって酷いよね。俺が付き合おうって言っても検討するって逃げたくせにあんな分かりやすいイケメンに抱き締められてぽおっとしちゃってさ」
「ちょっと黙って!色々ややこしくなるから!」
「しーちゃん、あいつに惚れてるみたいな顔してたくせにもう次の男な訳?俺は?俺とのこと少しでも考えてくれた?」
「おい、志保、こいつはなんなんだ」
「………待って。落ち着こう。落ち着いて話をしましょう」
隼人の登場で場の空気は一変した。シリアスな晶の告白の衝撃もどこかへ飛んで行った。
藤くんと同じ色の美しい瞳が私を見ている。好きだって言った?晶が?いや、あの頃も言ってたけど、今の、好きだ、は持っている力強さがまるで違う。
「……女がいつまでも昔の男ずっと好きだなんて幻想だから」
「幻想で良い。過去の俺なんかさっさと殺せよ。今の俺を見ろ」
「……ほんと、晶って嫌なタイミングで現れる」
涙が出そうなのは何故?晶が言った、好きだ、が色鮮やかに生きて聞こえたのはどうして?目を逸らしたいと思うのに逸らすことが出来ない。私は今、どんな顔をしているのだろう。
息が詰まる。藤くん、お願い、今すぐここに来て。あなたの顔が見たいの。
ふと晶の手が伸びてくる。抵抗する間もなく優しく抱き締められた。ふわりと漂うあの頃と同じ香水の香り。
晶の身体が震えている。なんでよ。いつだって暴君で、こんな風に私に触れる人じゃなかったくせに。
「……この間の男と違うっつーのはどういうこと?しーちゃん」
静かに響いた声にぎょっと目を見開く。もがいて晶の腕の中から逃れるとにっこり微笑んだ隼人が立っている。見た感じ外出先から戻ってきた所らしい。うわ、厄介だ、面倒くさい。なんでお前もこのタイミングで出てくるんだよ。
「なんだこいつ。パンツ野郎か」
「違う!つーか藤くんのことパンツ野郎とか変な呼び方するの辞めてよ!」
晶の険しい視線が隼人を捉えた。だが、隼人はどこか余裕そうな笑みで晶を見ている。晶と話をするなら場所を変えるべきだった。さっさと追い払ってしまおうと立ち話で済ませようとした自分のバカさに呆れて言葉が出てこない。
「藤くんってのはこの間一緒にいた分かりやすいイケメン野郎でしょ。しーちゃんって酷いよね。俺が付き合おうって言っても検討するって逃げたくせにあんな分かりやすいイケメンに抱き締められてぽおっとしちゃってさ」
「ちょっと黙って!色々ややこしくなるから!」
「しーちゃん、あいつに惚れてるみたいな顔してたくせにもう次の男な訳?俺は?俺とのこと少しでも考えてくれた?」
「おい、志保、こいつはなんなんだ」
「………待って。落ち着こう。落ち着いて話をしましょう」
隼人の登場で場の空気は一変した。シリアスな晶の告白の衝撃もどこかへ飛んで行った。