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サイレントエモーショナルサマー
第23章 vacanza
隼人に掴みかからんばかりの勢いの晶の腕からそっと逃れ、じりじりと逃走しようとすると右手を隼人に、左手を晶にがっちりと捉えられる。

「逃げんの?」
「逃がさねえぞ」
「いや、あのー、ほら、君たちちょっと頭に血が上ってるみたいだからさ、冷静になろうよ、ね、落ち着こう」
「一発出せば冷静になるけど。どう?久しぶりに俺とセックスしようよ」
「おお、それいいな」

良くないよ。こいつら結局下半身で物事を考えるのか。ダメだ。隼人と晶は絶対ダメだ。藤くんだって私に気がある奴はダメだと言っていた。

いや、待てよ。確かに藤くんは私に気がある奴はダメだと言っていたが、それはもし万が一、その人とセックスをして藤くんより良いと感じてしまった時の防御策のようなものだ。

現状、私は隼人にも晶にも特別な感情を抱いていない。多分、こいつらとセックスしたところで藤くんを超えることはないだろう。

「今日は顔にかけないであげるからさ、ね、しーちゃん」

そう言って隼人は私の股間へと手を伸ばしてくる。衣類越しにそっと撫でられるとぴくりと身体が反応する。ダメだ。待ちなさい、自分。

「大事に気持ち良くしてやるよ」

今度は晶が耳の中に声を吹き込んでくる。ぞくぞくと背を走る感触に腰が抜けそうになった。

「今さら操立てたい相手でもいんの?この間のイケメン?言わなきゃ分かんないって」
「そういう問題じゃ、」
「そいつに責められたらさ、俺らに無理やりされたって泣けばいいじゃん。なあ、しーちゃん。大好きでしょ、セックス」

セックスは好きだ。大好きだ。でも、藤くんが嫌がりそうなことはしたくない。それにそんな意味のない嘘をついてまで隼人と晶としたいとも思わない。

「……志保、こっち向け」
「ん!」

晶の声で彼の方を向くと唇を塞がれた。強引に歯列を割って晶の舌が口の中へ入ってくる。気持ち悪い。嫌だ。絡まる舌の感触に紛れてなにかが口の中へ移ってくる。
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