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サイレントエモーショナルサマー
第24章 guarigione
閉じた瞼の裏に、藤くんの顔が浮かんで、それから浩志の顔も浮かんでくる。出会えて、良かった。私は彼らを傷つけてしまっているけれど、彼らにはたくさん救って貰っている。
藤くんが居なければ、私は忘れてしまった感情に向き合おうとは思わなかった。
浩志が居なければ、私は日々の生活で疲れ果て、ほっと息をつける瞬間などなかっただろう。
好きだと言う言葉があたたかくて、重たいけれど、嬉しいものだということも思い出しはしなかっただろう。あれは気味の悪い言葉だったのだ。
ありがとう、藤くん。ありがとう、浩志。うつらうつらと微睡む中、声に出ていたかどうかは分からない。ゆっくりと、藤くんの匂いのするベッドで眠りに、落ちた。