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サイレントエモーショナルサマー
第25章 viaggio Ⅰ
◇◆
「んっ…んんっ…」
「こら、逃げないでください」
「むり…っ…」
地元の名産品をふんだんに使った夕食はとても豪勢で、ボリューム満点だった。普段はあまり量を食べない私でもつい夢中になって全部食べられるくらい美味しい食事だった。
お腹がいっぱいではち切れそうだと笑って畳の上に寝っころがってテレビを見始めたのは20時頃だ。食器を下げに来てくれた仲居さんと少し話をして、ご夫婦ですか、と問われると否定しようとした私を遮って藤くんは、そうです、と笑った。
和やかな空気だった。気が付けば近くで寄り添ってテレビを見ながら時折キスをして、藤くんの手は段々と尻や背中をいやらしく撫で始めた。
キスが深くなってくるともう私は我慢なんか出来なくて、欲しいとねだった。だが、藤くんはにっこりと悪魔の顔になって、じゃあ、お風呂に入りましょう、と耳元で囁いた。
「硬くなってますね」
「………んっ…」
「あ、手噛んじゃダメですよ。噛むなら俺の手噛んでください」
手を噛まずに声を押さえられる気がしなかった。内風呂で綺麗に汗を流した後、露天の美しい紅色の湯船に沈み込む時はひとりだった。
いつの間にか、さも当たり前のように藤くんが乗り込んできたかと思うと、簡単に背後を取られ、今、私は藤くんの上に乗っかって、うなじにキスをされながら乳房を弄ばれている。
藤くんの指は本当にいやにながくてエロい。左腕が私の腰をホールドして、右手は左右の乳房や乳首を弄って遊んでいたのだが、私が自分の手を噛んでいることに気付いた藤くんは自分の左手を私の顔の前へと持ってくる。
「そのまえに……さわるのやめてよ…」
「裸の志保さんが俺の上に乗っかってるんですよ。触らずに居られると思います?」
「んあっ…ちょっと…ッ…あっ、」
「声、大きいですよ。聞こえちゃいます」
「だから…っ…やめ…っ…」
満点の星空を見上げながらの入浴を楽しませてくれるのではなかったか。星の美しさに見惚れた時間は数秒とかそこらだった。うっとりしきる前に藤くんが乱入してきたのである。