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第25章 viaggio Ⅰ

「イっていいですよ」
「…まって…ふじく…ほんと、イク…っ…あっ…」

肩を噛まれ、同時に乳首を抓られた。それだけでもイきそうなのに二本の指にぎゅうっとイイところを押され、ぱちんと目の前の景色が弾け飛んだ。

内腿ががくがくと震えている。自分の荒い呼吸を感じながらもういっそ湯の中に溶けてしまおうかと身体の力を抜くと、藤くんは私の中から指を引き抜いた。

私が沈まないようにぎゅっと抱き締めて、うなじや耳の裏にキスをする。うっとりと、かわいい、と言う声が色っぽくてぞわりと痺れが込みあげる。

「藤くん…ね、欲しい…」
「声、我慢できます？」
「……出来ない」
「じゃ、ベッドいきましょ」

頬にキスをして、ゆっくりと私を立ち上がらせる。閉じた膣口からぽたぽたと湯が溢れていく様が羞恥を煽った。気恥ずかしさで下唇を噛んで俯くと、額にキス。部屋へと戻ろうとする藤くんのモノは普段以上に硬く反り返って、最早凶器と言っても差支えなさそうだ。

キスをして、じゃれ合いながらお互いの身体を拭きあった。藤くんの健康的に白い肌も日中の観光で少し、日に焼けて赤くなっている。

藤くんは襟付きのシャツを好んで着るから目立たなかったけれど、彼の首元にはまだべったりと赤黒い鬱血が滲んでいた。私が、つけたのだ。この美しい肌に色を加えたのは私なのだと思うと下腹部が疼いた。

「気分、良いでしょ」

私が彼の首元のキスマークをじっと見ていることに気付いたのか藤くんはそう言って微笑んだ。その顔は美しくもあり、妖艶でもあった。

答えるかわりに藤くんの首に手を伸ばして、キスをせがんだ。裸の尻をやんわりと掴みながらキスをくれる。

はやくベッドに行きたい。もっと、あの全てを溶かす熱が欲しい。首筋を丁寧に舐める藤くんの舌の熱さだけじゃ物足りない。

素肌に縋りついて彼の首に腕を回した。悪戯に膣口をそっと撫でた藤くんは頬にキスをしてから私の身体を抱き上げる。

足癖が良いのか、悪いのか。器用に足で引き戸を開けるとゆっくりと進み、洋室のベッドへ私の身体を下ろしてくれる。

見つめ合って、やっぱり、キス。お互い唇を食みあって、無我夢中でじっとりと熱い素肌に指を這わせた。

ノリの効いたシーツの感触はちょっとかたくて、藤くんのベッドのシーツの柔らかさが恋しかった。