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サイレントエモーショナルサマー
第26章 viaggio Ⅱ

「そんなに欲しい顔しないでくださいよ。俺だって我慢してるんだから」
「欲しいもの。藤くんもしんどくないの?」
「流石にそろそろはげそうです」

藤くんがハゲた姿はあんまり見たくない。きっと笑えないくらい似合わないだろう。ぶふっと吹き出すと頬を抓られた。仕返しにモノの根元に触れようとすると彼は慌てて腰を引く。

「まじで、ダメです。やばいです。今、触られたらすぐ出ますよ」

案の定、大丈夫ではないらしい。普段、自信満々余裕たっぷりの藤くんがその様相を崩すというのは面白い。私の手を抑え込んで、ガラス戸に尻や背中がぴたりとくっつくまで追いやるとそっとキスをして表情を隠す。

啄むばかりで深くならないキス。手を使わず、唇だけで彼のそれを追う。藤くんの迷いが見えたような気がした。キスをしたいのに、したくない。続けていれば我慢できなくなるのだろう。

「…志保さん、ダメ、ちょっとタイム」

下肢に視線をやるとキスだけでばっちり硬くしている。その上ぷるぷると震えて苦しそうだ。

「出したい?」
「かわいい顔でそういう事言わないでください」
「ねえ、出したいの?」
「無視ですか?帰ったら覚えておいてくださいね」
「忘れちゃうよ。私、バカだもん」
「絶対一晩中寝かせませんよ」
「望むところです」
「気絶しても起こしますからね」
「藤くんはなんだかんだそこまでしないもの」

私が意識を失えば彼は大体そのまま寝かせてくれる。まあ、意識のない私の身体を弄んでいたことが二度くらいあった気がしないでもないが。

「俺はね、やつらに触られても気持ち良くなかったし、自分でも遅いなって思いますけど、まじで志保さんに触られたら瞬殺なんで勘弁してください」
「……出さなくて辛くないの?」
「あのね…他の男はどうか知りませんけど俺は基本毎日出したい男ですよ。それをもう3日我慢してるんです。辛くないと思います?志保さんだって2日で我慢できないって言ってたでしょ」
「じゃ、我慢するのやめよう。あ、私出て行こうか?どうぞ、」
「いや、志保さんが傍に居るのにひとりでする虚しさの方が辛いです」
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