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サイレントエモーショナルサマー
第26章 viaggio Ⅱ
「…げほ…っ…」
「……ごめんなさい、大丈夫ですか?」
「ん…だいじょうぶ…痛くなかった?」
「気持ち良すぎで頭の中溶けました」
「……良かった」
「口、ゆすぎましょ。すみません、ほんともうちょっと我慢出来る筈が…」
藤くんは私を立ち上がらせるとシャワーで欲の残滓を流した。揃って浴室から出て、洗面台のコップで口をゆすぐ。あのなんともいえない苦味というやつは中々しつこい。うえっと水を吐き出すと背中をさすってくれるが、別に私は吐き気を催している訳ではない。
「藤くん、これでちょっとはすっきり…んんっ!」
フェラチオの後、特に口内で射精をした後キスをしたがる人は少ない。勿論、これは私の経験則である。いくら多少口をゆすいだとはいえ、自分の出した精液の臭いが残る口にキスをしたくないのも頷ける。
だが、藤くんは躊躇なくキスをして、ついさっきまで彼のモノにいたずらをしていた私の舌に彼の舌を絡めてくる。
舌を絡め取って、唾液を流し込まれ、ごくりと飲み込む。私の舌を離すと彼の舌は上顎をなぞって奥歯から歯列を滑る。
「んっ…ふっ……、」
「……やっぱりちょっと苦いっていうか臭いっていうか」
「しなくていいのに」
「俺がしたかったんです」
「自分の出したもんとキスしたかったの?」
「わざと言ってます?俺を気持ち良くさせてくれた志保さんにキスしたかったんですよ」
「へへ。分かってるよ」
ちゅ、と頬にキスをしてバスタオルを巻いてやっと部屋に戻った。私の寝起き風呂はまさかの方向に転がってしまった。本当に、旅行に来てまでなにやってんだよお前たち状態だ。私たちは性的な行為以外でコミュニケーションを取れないのだろうか。いや、そんなことはない。ただ、ついついそっちに流れてしまうだけだ。