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サイレントエモーショナルサマー
第26章 viaggio Ⅱ
ノーブラの私の胸元にすりすりと頭部を擦りつけてくるのはちょっと辞めて欲しい。
「今日は食事頼んでないんです。お腹すいたでしょ。島の中歩きますか?」
「うん。そうしよう」
「湾内クルーズもあるみたいですよ。今日はそんな感じにしましょうか」
「……島を出て大事なものを探さないで良いんですか」
「それは帰った後のお楽しみにすることにします」
「私は我慢できません」
「夜は泣きながら何度もイってそのまま寝ちゃったじゃないですか」
Tシャツ越しに乳房にキスをして、尻を撫でる。こら、と藤くんの髪に触れるといたずらっ子の顔で微笑む。余裕の戻りきった顔を見て、私は思う訳だ。ち、出させなきゃ良かった、と。
むっとして彼の足の上から降りると、藤くんは私の背後から覆い被さって畳の上に己の身体で檻を作った。ぎゅっと乳房を握られると身体が疼く。
「……ちょっと!」
「今、志保さん結構危ないですよね。外出すの辞めようかな」
「性欲も食欲も爆発しそう」
硬いモノが与えてくれる快感にはエロス満載の藤くんの指使いでも敵いやしない。尻や太腿を打つあの肌の熱さと痛みは挿入でしか得られない。
「……神様にお願いしたのになぁ」
「知ってる?神様はね、普段信じてないやつのお願いは聞いてくれないんだよ。邪なやつは特に」
神頼みをしたのに隼人に会わずに済むどころか晶とのダブルパンチをお見舞いされたのだ。今後は徹底的に呪ってやると胸の内で思いながらの神宮での参拝は矛盾を感じて笑いそうになった。
「貞操帯でも用意しとけばよかったですかね」
「その前にゴムだよ。それさえあれば全て解決したのに」
「でも、ほら、俺が忘れて買いに行ってってなんなかったら色々話出来なかったかもしれないですよ、結果オーライ」
「出たよ…ここでその荒っぽいポジティブ」
過程はどうあれ、私はまた一歩、いやもう三歩くらいは進むことが出来たと思う。藤くんの言った通り、結果オーライと言えばまあそうだろう。だが、それとこれとは話が別だ。恋愛についてどうこうしようと思ってはいるが、根本としてはまだセックス好きな女なのだ。