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サイレントエモーショナルサマー
第26章 viaggio Ⅱ
溢れ出した唾液が飲み込めず、唇の端からぽたりと落ちていく。涙が滲み始めた目ににやにや笑いを絶やさない晶が映る。見ないで。いや、違う。しっかりお前の目に焼き付けろ。私をここまで溶かしてくれるのは藤くんだけだ。お前なんかじゃない。
「……分かりました?」
私が身体の力を抜くとどこかほっとしたように藤くんが言う。彼も晶に見せつけるつもりなのだろうか。頷く代わりにゆるりと腰を動かすと中の指がぐちゅぐちゅと音を立てスポットを狙う。
舌を押さえつけていた指も心なしか力が緩んだ。はっ、と息を吸い込んでまだ口の中の指に舌を絡ませる。ぴちゃりと音が立ったのを聞きながら晶の姿を視界から追い出すように目を閉じた。
だが、私が目を伏せたのに気付いたらしい藤くんがそれを咎めるように耳たぶを強く噛んだ。ぞくっと走る快感に目を見開くとやっぱり晶はまだ目の前に立っている。
「ちゃんと見て。あいつはもう志保さんを溶かせない。俺だけですよ」
「んんっ…ふ、」
そんなの分かったよ。だからもうイかせて。舌を絡ませていた指を甘く噛むと、膣内の指が狙いを定めて更に動く。
「…んっ…っ…ふぁ…っ…ん!」
涙でぼやけた視界に必死で晶の姿を映しながら、藤くんの指を感じる。やばい。なんか新しい性癖に目覚めそう。もう、ゴールが近いときゅんと疼く下半身。
口内の指が舌を挟むようにしてそれを掴んだ。藤くんの薄いのに熱い唇がうなじを滑る。ぐ、と強くスポットを押されれば大きく身体が跳ねて、必死にとらえていた晶の姿が目の前から消えていく。
「……はっ…はっ…はぁ…っ…」
「……どいつもこいつもとんだ変態だな」
「俺はあんたを土俵にはあげない。俺が闘ってるのはこんなことしなくてもこの人を繋ぎとめられる強敵だから」
「こいつのこんな顔見せられてまで土俵にあがるつもりねえよ。もう、こいつは俺の手に負えない」
どういう意味なのか分からない。にやにやと笑っていた筈の晶は表情を消して、じっと私を見ている。藤くんはぐったりする私の膣内から指を引き抜いて、口内の指とそれを入れ替える。
「いつもしてるでしょ」
甘ったるい命令。大きく音を立てて自分が汚した藤くんの指を舐める。
「いいこ。上手ですよ」
涙を吸うように目尻に口付けて口の中から藤くんの指が出ていく。