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サイレントエモーショナルサマー
第28章 malinconia

「ひ、浩志…あ、はい、新しい箸、これね」
「藤…お前、今に見てろ」
「見ません。俺は志保さんしか見てないんで」
「そう言う意味じゃねえよ」
「あ、ほら、藤くんお肉冷めちゃうよ。美味しいうちに食べましょう」

誰か助けて。なんでこんなことになっているのだ。挑発しなければいいものを藤くんは浩志を煽る作戦でいくことにしたらしい。これも彼なりの一種の荒療治のつもりなのか。

マトウ鯛に箸を入れながら浩志は藤くんをきつく睨む。藤くんはそんな浩志の視線を華麗にスルーして、私に鮭を一口くれとおねだり。

「都筑、お前明日から社外、俺とだから。覚えておけよ」

私に言いながら浩志の視線は藤くんに向いたままだ。

「あ、うん…今朝部長から聞いた。倉庫の時間ちょっと調整しなきゃだよね。ミヤコちゃんにも言っておかないと」
「待ってください。え、どういうことですか?」
「ああ、私、倉庫番外れて、社外人員になるんだよね。だから日中は浩志について回って夕方戻ったらミヤコちゃんに倉庫の仕事引き継いでく感じになって…」

仕事は仕事な訳で、決定事項を言うと藤くんの顔が青ざめる。彼もだいぶあの時間に味をしめていたからこの反応は想定内だ。だが、浩志がいる手前、あれこれ言うわけにいかないのかショックですと言わんばかりの顔で硬直するに止めている。

「卑怯ですよ。そうやって志保さんのこと独り占めするんですか」
「バカだなお前。仕事は仕事だ。この配置だって俺が決めたんじゃなくて部長が決めたんだ」
「はっ…ま、いいですけどね。志保さん夜は俺のとこ帰ってきてくれますもんね…あっ、」
「はあ?ちょっと待て今のどういうことだ」
「……食事を進めましょう。お店に迷惑だから」

面白いことに藤くんも浩志を前にするとペースが乱れるらしい。彼は完全に余計なことをぺろっと言ってしまっている。浩志は結構地獄耳なので聞き洩らしはしない。

「ちゃんと白状する。だからとりあえずご飯食べよう。ね、」

そこからは軽い木の割りばしが、鉄かなにかに変わったのではと勘違いしそうになるほど重たい沈黙の中食事を進めた。店を出る際に私の昼食代をどっちが持つかでまたモメたので私が三人分支払った。
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