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サイレントエモーショナルサマー
第28章 malinconia
濡れた音を掻き消す、肌を叩く乾いた音。激しい律動で開かされた足は震えっぱなしだ。
「あっ、あっ…あン…っ…きもち、…ふじく、…っ」
「はやく…かえってきて…、」
「んっ…あっ、あっ…あぁ…っ…」
ずん、と奥を突かれる度にぶるりと腰が震える。何度イっているのかよく分からなかった。ただただ、必死に藤くんを呼んで、甘い嬌声をもらして、涙が滲む目で必死に美しいアンバーを見つめた。
「ずっと、ぎゅってなってます…そんなに俺のこと…はやくイかせたいの?」
「ちが…っ…あっ…だって…きもち、から…あぁッ…」
藤くんが私の太股ごと身体を抱き締めると奥への刺激が強くなる。イっちゃう、だめ、きもちい、と必死に洩らせば、もう何回もイってるでしょ、と微笑んでキスをくれる。
「ふじく…ちゅー、もっと、」
毒をちょうだい。私を浸食する甘い毒を。唇を合わせて、吐息を感じて。ぱっと目の前が光れば藤くんの顔が見えなくなる。短い呼吸を繰り返し、視界は景色を取り戻す。
もう一度、キスをして舌を絡ませ合うと藤くんが小さく呻いた。じんわりと熱が広がっていくのを感じる。
「……もう1回したいです」
下肢がびくびくと震えている。奥まで突き刺さる体勢のまま藤くんは私の耳たぶを噛んだ。きゅんと疼く下半身も、もう1回とねだっている。
「あン…っ…だめ、ふじく…もう、時間が…、」
子犬のような顔をして、ずるりとアンバランスなモノを引き抜いた藤くんはさっと後処理を済ませると身体を起こした私を抱き締める。熱を持った素肌がくっつく。
「俺は、あなたが居なくなった部屋でこれから先、どうやって過ごせばいいんですか」
「…ん、ちゃんとご飯食べて、布団かけて寝るんだよ。お腹出して寝たら風邪ひくよ」
「風邪ひいたら看病しに来てくれますか」
「未必の故意は許さん」
いいこいいこ、と藤くんの髪を撫でてやる。もっとして、と言うように腕の力を増すところが可愛い。暫く、よしよししながら抱き合っていると放り出した鞄から鈍い音が上がった。着信だ。チカに違いない。