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サイレントエモーショナルサマー
第4章 日曜日は苦みを少し

「いひゃい…」
「もうさ、その藤くんとちゃんと付き合いな。イケメンなんでしょ?モノも問題ないんでしょ?あんたのこと大好きなんでしょ?いいじゃん、とりあえず付き合っとけばあんたの気持ちはいつか追いつくよ」
「……もう、付き合うとかそういうのこりごり。とりあえず、とかしたくない」
「じゃあ藤くんのこと好きになる努力しな。反省は活かそう」
「努力したらそれはもう作り上げた感情であって今より遠くなると思います」
「頭かったー。かたすぎ!」
これだから本ばっか読んでる女は!と凄まじい偏見をぶつけてくる。じろりと私を睨む顔にはあんまり迫力がなくて思わず笑うと先程とは反対の頬を抓られる。
「ね、志保。藤くんはさ、あんたのこと知っててそれでも好きだって言ってくれたんでしょ?手打っときなよ。そんな人この先もう現れないかもしれないよ」
「現れなくたっていい」
もういい、私の話は終わり、と煙草の箱に手を伸ばす。火を点けて肺一杯に煙を吸い込み、吐き出すとざわざわする気持ちが落ち着く。
「私の話はもういいよ、チカはどうしたの?ヤケ酒しよ。あの中身お酒でしょ」

