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イケないキミに白い林檎を
第5章 狂乱
「…………。私が鈍感なのが悪いんですよね。それにソラ先輩の言うとおり、私は颯太に愛されてなかったのかもしれません」
「いや、愛されていたよ……。二年間も一緒にいたんだし。幸せだった時くらいあるでしょ?」
「うっ……、っ……、ひぐっ……」
颯太と付き合ってからすべてが輝いて見えていたあの頃を思い出すとまた涙が出てくる。
たくさん笑って、心も通じ合っていた。
でも今になって思えば、体を求められていただけなのかもしれない。
本当に愛されていたのか、ただの性欲処理の女だったのか……。
ソラ先輩に愛を肯定されてますます分からなくなる。
「どうして私は浮気されちゃったんですかね……」
「他人が手を出したくても出せないものを食べ続けられるだけでも幸せなのに、他のものに手を出すなんて贅沢だよね」
ソラ先輩は不思議なことを呟いてから、また泣いている私の頭を撫でくれた。
触れられるたびに悲しみの底に落ちないように救われる。
それから颯太のところに行って起きた出来事をすべて話した。
玲亜さんがいたこと、私を捨てて別れを告げてきたこと。
こんな話をソラ先輩は口を挟むことなく頷いて聞いてくれた。
私を汚すことなく、ただ傍に居るだけ。