この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
イケないキミに白い林檎を
第5章 狂乱
スーツの男の名前は、樹(イツキ)さん。
三十二歳のサラリーマンで実家暮らし。
彼女とは性格の不一致で別れたらしい。
食事をしながら話を聞いていると悪い人ではなくて安心した。
「今日はご馳走様でした!美味しかったです」
「風子ちゃんと一緒にご飯を食べれて楽しかったです」
「いやー、そんなことは……んっ――」
お店から出て地下歩道を歩いていた時、樹さんにいきなり唇を奪われた。
「実は僕、風子ちゃんに一目惚れしてたんですよね」
「えっ……」
「電車も止まってる事だし、ホテルに行きませんか?」
『――――自分を安売りしちゃダメだ』
ソラ先輩に言われたこと。
自分でもそれがダメなことだって分かってる。
だけど颯太と別れてからずっと抱かれていない体が疼いてしまう。
他の男とセックスをしたら、颯太のことを諦めることができるかもしれない。
……決めた。
「いいですよ。行きましょう」
私は抱かれる覚悟をした。
理性という天使は悪魔に支配される。