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イケないキミに白い林檎を
第8章 仕置き
DHA&EPA、ビタミンE、鉄、亜鉛……ただのサプリメントか。
期待に反して、ガクンと肩を落とした。
とりあえず栄養を摂取しようとする意気込みは分かった。
でもこう言う物に頼るということは、ちゃんとした物を食べていないんだろう……。
ここまで部屋を見た結果、女に逃げられて引っ越してきたばかりのような気がした。
いや、こんな広いところに住んでるんだから女と一緒に住んでいて逃げられたんだろう。
きっとあの二重人格に嫌気がさしたんだ。
他人に捻くれてるとか言う奴だから振られるに決まっている。
妄想を巡らせていると、前にここに来た時にソラ先輩が言っていたことが浮かんだ。
――――『乙羽さんを泊めて泣くような女はいないよ』
私がここに来て、泣くような女はいない。
裏があることを疑わず、真っ直ぐに言葉の意味を頭の中で並べてみる。
辿り着いた答えに、まさかそんなはずはないだろうと疑う。
立ち止まって見渡すと、やはりここは空虚な部屋。
自分をしっかり持っている人なのに、この生活環境にどこか寂しさを感じた。
「…………」
監禁する気満々だったわりにドアを開けられないように塞ぐ物がない。
没収したスマホはすぐに分かるように置いておく。
おまけに手を拘束するために使ったネクタイを緩めて出掛けた。
あいつ……、いや、ソラ先輩は……
私を試している……?
そうだとしたら……――――