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イケないキミに白い林檎を
第9章 元彼

「仕事終わりで帰るところだったんだが、まさか風子に会えるとはな。元気だったか?」

「うん……」

久しぶりに見た姿は付き合っていた頃と何も変わっていなかった。


「前はあんなことを言って悪かった。おまえの気持ちを全然考えてやれてなかったな」

「ううん……」


泣いてしまいそうだ……。

今更謝られて、優しくされて、胸が苦しくなる。

涙を堪えている私の頭をそっと撫でて、宥めようとしてくれる。


懐かしい温もりを感じて、付き合っていた頃に引き戻されるような気分になった。


「やっぱり風子は可愛いな。久しぶりに見たら改めて思ったわ」


「彼女に怒られるよ……」

「そうだな。すげえ嫉妬するやつだから、元カノと話しているところを見られたらかなり怒られそうだな」


彼女がいることを否定しないから、私と別れてから玲亜さんと付き合っていることが分かった。


いい彼女になろうと必死だったのに、玲亜さんに負けるなんてやっぱり悔し過ぎる。


でも目の前に玲亜さんは今はいない。


「颯太っ……」

気持ちが抑えきれなくなり、一方的に颯太の胸に飛び込んだ。

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