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イケないキミに白い林檎を
第9章 元彼

「なっ……、なんだよ」

できることなら奪い返したい。

彼氏を奪われて幸せだった時間を壊される気持ちを知っていても……。


「好き……。振られてもずっと好きだったの……」


素直になって本当の気持ちを告白すると、抱き着いた私の背中に腕を回して小さく呟いた。


「……オレも好き…って言ってやりたいけどな」

寂しさを感じる声のトーン。

曖昧な答えに希望を持って顔を上げると目が合う。

軽めのキスをされてから颯太は私の体を離す。

私の元に気持ちはないと分かっていても少し期待してしまう。


「風子は彼氏できたか?」

「サークルの先輩と付き合ったけどすぐ別れたよ」

「そっか。塑羅緒と付き合ったのかと思ってた」

「ううん、付き合ってない」

「ふーん」

やっぱり颯太はソラ先輩となにか張り合っている……?

そうだとしたら、これは利用できるかも……


「でもソラ先輩とは最近すごく仲良しなんだ。いい人だよね、カッコよくて優しいし」

卑怯かもしれないけど仕掛けてみた。

上目遣いで颯太の反応を覗うと、不機嫌そうな顔をして私を見る。

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