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イケないキミに白い林檎を
第11章 片想い
「あははっ、これじゃ子供ですよね。もう少し大人の女性みたいにクールになれるように頑張ります」
「いいや、乙羽さんはそのままでいいんだよ」
「えっ……」
「そんなところも可愛いんだから」
静かに呟いてすぐに色んな種類の魚が泳ぐ大きな水槽へと視線を逸らす。
まるで私から遠ざけるように。
「……ソラ先輩」
不安げに名前を呼ぶと、私の右手にそっと触れてから優しく握られた。
一瞬だけ震えを感じた大きな手に引かれて、止めていた足を進ませる。
緊張していたのは、私だけじゃなかったんだ……。
行動を読むことが困難な彼と共通するこの気持ちが自然と愛おしくなる。
繋がる手に応えるため、ほんの少しだけ力を入れて握り返した。
恋人繋ぎではなく、友達同士でするような繋ぎ方。
これくらいなら……してあげてもいいかな。
私は一応ソラ先輩の彼女なんだから。