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イケないキミに白い林檎を
第11章 片想い
「おまえは変なところに真面目だよな。あー、どれだけクソ真面目なんだよ」
「でも彼女に疑われないで済むじゃん」
「確かに、玲亜は嫉妬深いから間違ってねえけど」
冷や冷やしながら聞いていたけど、私とソラ先輩が付き合っていることはバレていないようだった。
部屋に入れてもらうと、また足の踏み場がないほど散らかっていた。
片付けができないは相変わらずのようで呆れてしまう。
「そう言えばお袋から聞いたんだけど、ばあさんがついにボケたんだって?」
「うん、何度も同じこと言ってるって。たまには顔見せてあげたら?」
「余計にめんどくせーから行かねえ」
放置されていたお菓子の袋やお酒の缶を捨てながら、二人の話を聞いていた。
ソラ先輩に負けたくないとか言ったり、嫌な顔をしたりするけど、会うとなんだかんだ言って仲良しだから安心する。
世間話がひと段落ついた頃に、私もゴミ捨てを終えて座った。
「オイ、塑羅緒。お菓子買って来い」
「大丈夫。すでに買ってきたから必要ないよ」
来る途中で買ったお菓子を手にして私が颯太に言う。
「それじゃあ、駅前で売ってたロールケーキ買ってきて欲しいんだが……」
ロールケーキ……
私と颯太が別れた日に玲亜さんが言っていた食べ物……。