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イケないキミに白い林檎を
第12章 甘い口付
【こんにちは。今日は会える?】
ソラ先輩からのメッセージだった。
この事を言おうかな……。
はっきりと言って別れればこれ以上傷付けるようなことはない。
まだ約束の三ヶ月が経っていないけど、お互いにもっとつらい思いをしなくて済む。
【どうしても話したいことがあるんですけど……】
体調が悪いことも伝えてメッセージを返事すると、私の家まで来てくれることになった。
「っ……、ううっ……」
スマホの画面にポタポタと大粒の涙がひとつ、ふたつと落ちる。
こんな裏切り方で終わるなんて……最悪だ。
またしばらく泣いた後、潤む視界で着信履歴を見た。
私がまずこの事を伝えるのはソラ先輩じゃなくて、颯太ではないだろうか。
電話を掛けようとした時、私の部屋のドアをノックする音が聞こえた。
急いでスマホの画面を消す。
――カチャッ
「お邪魔します。乙羽さん、体調は大丈夫?」
律儀に挨拶をして部屋に入ってきたソラ先輩は、座り込んでいた私の前に腰を下ろした。
来ると言ってからあまり時間が経っていないから急いで来てくれたんだろう。
「…………」
心配そうに私の顔を覗いてくるソラ先輩と目が合い逸らした。
「乙羽さん?」
「……ソラ先輩、私と別れてください」