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イケないキミに白い林檎を
第12章 甘い口付

「まだ約束の三ヶ月になってないけど」

私が別れを告げても冷静な声のままだった。
納得してくれないソラ先輩を前に重い口を開く。


「私、……妊娠したかもしれません」

「……本当に?」

怒っているのか、動揺しているのか。

顔を上げずに話しているから、ソラ先輩の気持ちが分からなかった。


「生理が来ないんです。だからっ……」

「相手は?」

「颯太かもしれません」


「この事を言ったの?」

「まだですけどなんて言われるか怖くて……」

「…………」


「ごめん…なさいッ……、本当に…ごめんなさい」

ぐしゃぐしゃになった顔で俯いたまま、謝ることしかできなかった。

こんな形で傷付けて、裏切ってしまうなんて最低にも程がある。


「…………」

ソラ先輩は溜息すら口に出さずに私の部屋を出て行った。

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