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イケないキミに白い林檎を
第14章 それぞれの愛
ブーケが降ってきてソラ先輩が取ると先生が満面な笑顔をする。
可愛がっていた生徒だからきっと狙って落としたのだろう。
取ったブーケを見せてもらうと、投げたのは花ではなくブロッコリー。
周囲では笑いが起きた。
披露宴になってから豪華な料理がテーブルに並ぶ。
楽しみにしていたのに緊張して味わえることなく、あっという間に余興の本番になる。
四人で前に出て海田先輩が代表に挨拶した。
「この度は、ご結婚おめでとうございます。これから僕等が歌うのは先生に向けて作った曲です――――」
海田先輩が作詞作曲したのは、先生との思い出を綴った曲。
先生は私たちの意志を尊重してくれて、優しく見守っていてくれた。
その感謝の想いも込められた曲を海田先輩と私と大地くんが歌い、ソラ先輩がピアノでメロディーを奏でる。
目に焼き付けるように見ていた先生は、涙を流していた。
披露宴が終わり、見送りの時。
久しぶりに先生と話せた。
「風子さん、彼等と素晴らしい余興をしてくれてありがとうございました。少し見ない間に随分と変わりましたね」