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イケないキミに白い林檎を
第14章 それぞれの愛
悄げているとソラ先輩は私の頬を抓ろうとしてから、両手で冷えている頬を包む。
「乙羽さんは悪い方に考える天才だな」
「なんですかそれ。こっちは真剣に悩んでるのに」
「汚れたなら綺麗にするだけだろ」
「つまりどうすればいいんですか……」
「俺を選んでくれるなら白く塗り潰してあげるよ」
「…………!」
温かいソラ先輩の体温が頬へと伝わる。
私を見る澄んだ瞳に気付くと心が大きく揺れた。
油断していると頬をそのまま押されてだらしない顔にされる。
「ははっ、間抜け顔もすごく可愛い」
「もう!人の顔で遊ばないで下さいよ」
からかわれたりしながら散歩を楽しんでいると、指を絡ませて手を握られた。
ソラ先輩と初めてする恋人繋ぎ。
緩んでいる私の手が離れないように強く握ってくれる。
スーツを着ているせいなのか、いつにも増してかっこよく見えた。