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イケないキミに白い林檎を
第14章 それぞれの愛
文句のつけ所がないこの居場所。
片方だけ強く握ってるのは寂しいだろうから、私も少しばかりソラ先輩の手を強く握り返した。
閑散としていて明るさは街灯だけが頼りの道をそのまま手を繋いで歩く。
「ところで今日貰ったブロッコリーどうしたらいいのかな。どんな風に料理していいか分からなくてさ」
「うーん。茹でてマヨネーズかけるだけでも美味しいですよ」
「茹でるには水何CCに塩何グラム?」
「えっと……、適当に鍋に水を入れて……」
「水温は何度で何分かかる?」
「あーもう!理科の実験じゃないんだから!私がやります」
「ありがとう。助かるよ」
自分でできるはずなのに遠まわしに私に甘えてくる。
けれど必要としてくれて嬉しい。
「でも料理できた方が彼女に喜ばれますよ」
「なるほど……。乙羽さんが喜ぶなら俺も覚えるか」
「私じゃなくて次の新しいか――……わっ!」
ソラ先輩がいきなり立ち止まったせいでぶつかった。
絡めていた指もそれと同時に解かれる。
どうしたのか気になってソラ先輩の視線の先を見ると私も困惑する。
なんで、こんなタイミングに……