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イケないキミに白い林檎を
第15章 キミともう一度

「ありがとう。……うん。乙羽さんが食べさせてくれたからすごく美味しい」

味見をしたソラ先輩はご機嫌のようで満面の笑みを向けてくれた。


「誰が食べさせようが一緒ですよ。ましてや贅沢な食べ方じゃないんだからそんなに喜ばなくても……」


「こうやって乙羽さんと一緒にいれるだけでも十分に贅沢してると思ってるよ」


どうしてこんなにくさい台詞を軽々しく言えるのか。
でも悪い気はしなくて口元が緩む私。


「っ……、それより茹で方ちゃんと覚えました?」


「乙羽さんは10等分になるように切って、約2リットルの水を鍋に入れてたから――」

「あーもう、細かいな!計らなくてもできますから。いい加減に実験から離れて下さい!」


「ははっ、冗談だよ。適当にやればいいんだろ。適当に」

適当の意味を分かってる?
本当に大丈夫なのかな。

この人の未来の奥さんの苦労が見える。

けれど、楽しい……。


「とにかくブロッコリーくらいは茹でられないと。栄養価高いですから、たまには自炊して食べてく下さいね」

「分かった。乙羽さんに喜んで貰えるように練習するから」

「はい。頑張って下さい」


私のためじゃなく、次の彼女のために……


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