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イケないキミに白い林檎を
第15章 キミともう一度


――ううん、まだ違う。


行為へと繋がろうとしていた長いキスの途中で私は唇を離した。

すると颯太は眉をひそめて、当然のように機嫌を悪くする。


「どうしたんだよ?」

「ごめんなさい。今はまだ気持ちの切り替えができなくて……」


「しょうがねえな……」


断る私に呆れたのか大きな溜息を吐いてから、テーブルに置いていた煙草を取り火をつけた。

久しぶりに嗅いだ煙草の香り。

私は煙草を吸わないから銘柄とかよく分からないけれど、以前と違う香りだった。


「でも一昨日に塑羅緒のいる前で言った台詞。あんな恥ずかしい事もう絶対に言わねえから頭に入れとけよ」

「分かった。ちゃんと覚えておくから」


――『復縁したら今後一切浮気もしないで風子のことだけ見てると誓ってやるよ』

あの時の言葉を思い返したら心が温かくなってなんだか軽く笑えてきた。


「なんだよ。笑うんじゃねえよ」

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