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イケないキミに白い林檎を
第16章 わたしのこいびと

「そんなことないよ。恩を返してもらおうなんて思ってないし、隣にいてくれればそれで充分だから」

「そんなのおかしいです。ただの綺麗事じゃないですか」

「…………」

反論するとソラ先輩が黙ってしまった。
余計なことを言ってしまったのか不安になる。
でも私を包む力が少し強くなったような感じがした。


「ソラ…先輩……?」

「だったら我儘言っていいかな」


「なんですか?」

「今晩は一緒にいれる?このまま乙羽さんを抱いていたいな」


窓から見える外は既に暗く、机に置いてある時計を見ると午後7時を過ぎていた。

もうすぐ颯太が帰ってくる時間。

今晩も会いに行かないといけない。

そうでないと更生しようとしている颯太の意思を棒に振ってしまう。

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