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イケないキミに白い林檎を
第16章 わたしのこいびと
「すみません。今日は用事があるのでそろそろ……」
「颯太のところに行くの?」
「……はい。もう一度信じて貰いたいから見ていて欲しいって言われてます」
この前、ソラ先輩の彼女としての役割を全うすると言ったけどこの有様。
自分でも矛盾していると分かっている。
「へえ、今度こそは本気なんだ……」
「会うって言っても、ご飯作ってあげて様子見て帰るくらいなのでまた戻ってきますね」
「暗くて寒いからそんな事しなくていいよ。……俺のことは気にしないで行っておいで」
あれ…………。
もう私が颯太に会いに行くことを嫌とは言わないんだ……。
包まれていた温もりから手放されるとひしひしと寂しさを感じた。
どう思われているのか知るのが怖くて振り向けない。
罪悪感を感じながらも服を着てソラ先輩の前から立ち去った。