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イケないキミに白い林檎を
第16章 わたしのこいびと
夜ご飯を食べ終えた後、駅周辺に飾ってあるイルミネーションを見ながら歩く。
黄金のように輝く街路樹、クリスマスツリーの形をしたものまである。
寒さを忘れてしまう程に夜に栄える光の世界に引き込まれた。
「こんなに凝ったイルミネーションを見るの初めて。ツリーの一番上には星までちゃんとのってるし!すごく綺麗だね」
キラキラしている景色に躍らされながら隣にいる颯太に話し掛ける。
「子供みたいにはしゃぐな。まったく、今日は風子に振り回されっぱなしで疲れた」
「ごめんなさい。楽しくなかった?」
「たまにはこのくらいのデートならしてやってもいいと思った」
「本当に?それなら良かった」
セックスをしないデートにいつ飽きられるか不安だったけど、つまらなくはなかったようで頬が緩む。
「いつもオレの前では悲しい顔ばっかりしてたけど、そんなに明るい顔でも笑えるのな」
柔らかな声に控えめな笑顔。
薄暗いせいでそれが一段と印象に残った。
普段は見せない表情に少し驚いていると唇を奪われる。けれどもそこに強引さなどなかった。