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イケないキミに白い林檎を
第16章 わたしのこいびと

「好きだ」

唇を離した後にやってくる言葉。
不安になりながら付き合っていた頃と何か違うものを感じた。

やっと混じり気のない姿で好意が耳へと届く。
けれども私の鼓動は正常を保ったまま。

冷たい空気に触れ続ける体も温かくなることがなかった。

気持ちは思考よりもずっと素直に私を動かす。

迷っていた答えを告げるようにと……。



「ごめんなさい。ここまでして復縁しようとしてくれてるのに、本当は颯太のこと好きなのか分からない」


別れてから時間が流れるにつれて、いつの間にか私の中で颯太の存在が消えていった。

辛くも楽しくも色んな思い出ができてから、元の居場所に戻ってきたら私の気持ちは変わっていて。


前のようにドキドキすることもなく、触れられたい欲求も湧いてこない。
ソラ先輩に縛られていたのもあったけど、触れ合うことにどこか拒否する気持ちがあってセックスもできなかった。


更生する姿を見るために夜ご飯を作りに行って、それがよく分かった。

好きと言う感情がどんなものだったのか忘れるほど、颯太に対して何も思わなくなっていたって。


つまり、……私はもう恋していない。

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