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イケないキミに白い林檎を
第3章 裏切り
スーツの男に引っ張られてない腕を別の誰かにいきなり掴まれた。
この温もりはもしかして――――
颯太……!?
「俺の彼女をどこに連れていくんですか?警察呼びますけど」
「チッ」
スーツの男は不機嫌そうな顔で舌を鳴らし、さっさと逃げていった。
なんとか助かった……。
だけど……――――
私の彼氏と名乗った人を見て落胆する。
「ありがとうございます。助かりました。でもいつ私の彼氏になったんですか……」
「今日から」
呆れている私に対して清々しいくらいにっこりとして答える。
ホテルに連れて行かれそうになったところを助けてくれたのは、颯太じゃなくてソラ先輩だった。
「はぁー……。変な冗談はやめて下さい。なんでまたこんな所にいるんですか」
「乙羽さんは余興の話で集まった後に一緒にいた人を探しているんだろ?」
「確かにそう言いましたけど。それ、さっき逃げて行ったスーツの人ですからね」
「あの男は具合が悪かった乙羽さんに話し掛けただけで何もしてないよ」
つまりスーツの男とはラブホテルに行ってなかったってこと……?
「じゃあ、他になにか知ってるんですか!?」
真実にやっと辿り着けそうで思わず大声を出してしまった。
私が大袈裟な反応をしてもソラ先輩はいつも通り冷静だった。