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イケないキミに白い林檎を
第18章 イケナイキミに捧ぐ✕

起き上がると手放して落ちたバッグの中身が散らばっていた。それを順に拾っていく。

スマホ、ポーチ、財布、手帳……

そして……

ピンク色のうさぎのキーカバーが付いた合鍵。

渡されてから一度も使うことなく、バッグの底で眠っていた。
彼女になってから初めてのデートで貰ったプレゼント。

すっかり存在を忘れていて、別れる時に返し損ねていた。


ソラ先輩……。

他の男を見ても、動かない心。
話しても、触られても楽しくない。
そんな魔法を私にかけていった大魔王。

会いたい……

好き……。


今まで颯太に依存していたけど、この気持ちに迷いはない。

だから捨てることを怖がらないで、新しく踏み出す勇気を持たないと。


それに今動かないときっと未来の私はまた後悔する。
あの時、どうして伝えていなかったんだろうって。


きっかけがなくなった今、この鍵を返しに行くのが最後のチャンス。


涙を拭いてから合鍵を握り締め、前へと進んだ。

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