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イケないキミに白い林檎を
第3章 裏切り
別れるのを覚悟で颯太のアパートへソラ先輩と向かった。
来る途中ずっと泣いていたから目がパンパンに腫れていた。
「……で、どういう事だ。なんでお前が風子を泣かせてんだよ」
颯太の前に正座で座る私とソラ先輩。
明らかに悪いことをしましたと言っているようなもの。
普段スマホばかり見ている颯太も珍しく話に向き合う体制になっていた。
「先週、余興の話し合いが終わった後に乙羽さんとラブホに行ったことなんだけど……」
滅多に驚くことがない颯太が一瞬大きく目を見開く。
「風子がヤリたいって言ったのか?」
「違う。でも具合がすごく悪くて、一刻も早く横になりたいっては言ってた」
「そんなに悪かったのか」
私は黙って頭を縦に振った。
こんな状況でも冷静なソラ先輩は話を続けた。
「ごめん。他人の彼女をホテルに連れ込んで申し訳なかったと思ってる」
「ごめんなさい……」
「はあ……。ふざけんなよ……」
颯太がため息をついて、さらに重くなる空気。
これが修羅場ってやつ。
もうどうなってもいい……。
別れたくないけれど、これも運命。
大体、隠そうとしていた自分が馬鹿だった。
クソ女になったのには違いないんだから。
この事実を否定するのはもうやめて受け入れるしかない。