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イケないキミに白い林檎を
第18章 イケナイキミに捧ぐ✕
肩を揺さぶられてハッと目を覚ますと、ソラ先輩が心配そうな顔をして私を見ていた。
良かった……、会えた……。
嬉しい……。
朦朧としながらも安堵すると、頬を手のひらで包まれた。
「あの…、用事が……」
「こんなに冷えて……。とにかく中に入って」
室内に入れてもらうと、部屋を暖かくして毛布を被せてくれた。
温かい飲み物も貰って体の震えが落ち着いてきた頃、ソラ先輩が様子を伺ってくる。
「何かあったの?」
「……合鍵をまだ返していなかったので」
ピンク色のうさぎのキーカバーが付いている鍵を取り出した。
これを返したらソラ先輩と関われるチャンスは終わり。
そう思うと急に悲しくなってきた。
だけど借りていた物なんだから返さないといけない。
何も言わないソラ先輩に躊躇いながらも鍵を手渡した。
「後、一つだけどうしても伝えたい事があって……」