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イケないキミに白い林檎を
第20章 ふたりの嫉妬と秘密の関係
背中に回されていた手が上着の中に入ってきて、ブラジャーのホックに触れてハッとする。
「さっ、触らないで!私達はもうただのオトモダチなんだから」
腕を払いのけて立ち上がり、颯太から距離を取った。歩幅を縮めないと手が届かないくらいに。
「なんでそんなに遠くに逃げるんだ」
「自分を守るために決まってるじゃない」
はっきりと答えると沈んでいるほどの暗い顔をされる。悩みを抱えているせいなのか、それがいつにも増して可哀想に見えた。
「……弱いから逃げるのか」
「違うよ。弱いからじゃなくて、逃げるのも手段の一つだから」
「逃げてどうすんだよ。嫌なものに立ち向かわないのか」
「力じゃ勝てないと分かってるものに立ち向かえって言うの?味方がいてくれたり、自分の力が強かったら立ち向かうだろうけど……」