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イケないキミに白い林檎を
第20章 ふたりの嫉妬と秘密の関係
「立ち向かわないのが誰かの迷惑になるとしても?」
「ええ……。なんでそこまで聞くの?……んー、そもそも他人のことを考える前に自分が駄目になったら終わりでしょ」
「はっ……、やっぱりアホだな風子は」
今度は暗い表情から一変して小さく笑う颯太。私が答えた内容のどこが面白かったのか理解不能だった。
「意味の分からない質問に答えたのに、なんで馬鹿にされないといけないの」
「お子ちゃまには分かんなくていいんだよ。……今日はここにおまえと来て良かった。引きこもってねえで前に進むわ」
この荒れ模様の海に来て何が変わったんだろう。
話が噛み合わない会話にヤキモキしている私の隣で颯太は海に目を向けた。
視線の先の景色は荒れた海だけど、雲の隙間から太陽の光が射していて綺麗で幻想的。
それを満足そうに眺める颯太の表情は、どこかスッキリしているように見えた。
冬風を浴びて体が冷えてきたところで海から帰ることにした。
駅へと向かうバスが来るのをバス停で待つ。
「次はオレをどこに連れていきたいんだ?」