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イケないキミに白い林檎を
第21章 愛するキミと見えない報復を
「なんでもいいから飯を頼む」
「はいはい。ちょっと待ってて」
私がいない時の二人の会話が新鮮で聞き耳を立てる。
お互い見えないところではなんだかんだ言ってるけど、相変わらず仲が良いようで安心した。
その後、暫く沈黙が続いてから懐かしい煙草の匂いとカレーのスパイシーな香りがこのダンボールの中まで漂ってくる。
閉ざされているせいで、胸の谷間に汗が滲むほど暑くなり襟元を引っ張って扇いだ。
「――なんだこのカレーは……。不器用にも程があんだろ」
でた……。本人のやる気を削ぐような言い方。
颯太はストレートな物言いをするから、私はこれを恐れていた。
「ははっ……。俺は失敗作の人間だから、不器用なのは仕方ないんだ」
「ガキの頃に言われたことをまだ引きずってんのか。今は立派な大学に行ったんだからジジイも文句言わねえだろ」