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イケないキミに白い林檎を
第21章 愛するキミと見えない報復を
「いいんだ。……俺はこの箱の中にいる子だけを好きでいるって決めたから」
静かに箱の蓋を閉じられてまた暗くなる。
その後、私に何かを伝えるようにトントンッと軽く箱を叩く音がした。
開けられる心配が過ぎ去ったのにまだ手が震えている上に涙が滲んでくる。
安心したと言うよりも外から聞こえてきた告白に幸福を感じて胸がいっぱいになった。
「うわ……。マジでヤバい奴になったな。生身の人間じゃなくてこんな人形を愛するってことは、まだあいつのことを忘れてねえのか」
あいつ……?
「……何のこと?その話はしない約束じゃなかったっけ」
「相変わらず頭が固いな。先にシャワーでも浴びさせてくれねえ?」
「どうぞ。ごゆっくり」
一人の足音が遠くへ行った後、箱ごとグイッと持ち上げられて運ばれている感じがした。
やっと寝室の方へ移動してもらえるんだ。
そっちの部屋でドアを閉めておいてもらえれば、リビングにいるより楽に隠れていれるはず。