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イケないキミに白い林檎を
第22章 Reminiscence
夕方。莉乃さんと海田先輩と別れてダブルデートを終える。
いっぱい話せて、色んな物を見れて楽しかった。
ショッピングモールを出て、帰り道をソラ先輩と二人で歩く。
「ねえ、乙羽さん。これあげるよ」
アウターのポケットから出して私に渡そうとした物は小さな白い袋。
それに書いてある文字はシュシュを見ていた時のお店の名前だった。
「これって……」
「うん、あれだよ。こっそり買っていたんだ。プレゼントするから受け取って」
薄らと見えた中身は私が欲しがっていたあのピンク色のシュシュ。
もう買えないと思っていたから、サプライズで買ってもらえてすごく嬉しい。
受け取るために手を伸ばすとふと不安が過ぎった。
いつも買って貰ってばかりでいいんだろうか。
私はソラ先輩にまた何もしてあげていないのに。
前に思った時も、今も……。
そう思うと悪い気がしてきて伸ばした手を引っ込めた。
「……ごめんなさい。受け取れません」