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イケないキミに白い林檎を
第22章 Reminiscence
物音さえ聞こえない静かな室内に自分の声が響く。
靴を脱いでリビングに行っても照明の明かりはなく、暖房がついていた名残もない。
「いたら返事をしてください。隠れてるのは分かってるんですよ。……昨日のことは謝りますから、かくれんぼはやめにしましょう?」
すべての部屋とクローゼットを開けて探しても見つからなかった。
ここにはいないのかな……。
他に行く宛てがないか、リビングに戻って立ち尽くして考える。
白いレースカーテンが付いている窓から差し込む光が仄暗い部屋を少しだけ照らす。
嫌なくらいに今日の夕陽は一段と赤さが目立っていた。
じわじわと不安が襲ってきて、最悪の事態ばかり脳内に浮かんでしまう。